世界が広がる。
先日ようやくカミさんから勧められていた文庫本「線は、僕を描く」を読み終えました。
砥上裕將(とがみ ひろまさ)著の小説です。
この方は水墨画家なのですが、デビュー作でいきなりメフィスト賞なるものを受賞された方らしい。
テーマも「水墨画」を主題にして、ある若者の人生を重ねて描いています。
随分前からカミさんから渡されていたのですが、ざぶん賞やら、確定申告やら、何かとやらなくてはならない作業があったので、少し読んでは間が空き、また少し読んでは間が空きの繰り返しでなかなか前には進まなかった。
4月になってようやく時間ができたので、一気に読み終えました。
水墨画の魅力がその文章によって、真に迫って来る。
そんな小説でした。
描くこととは何か、主人公の若者の人生とそれを重ねて、一つの世界を醸し出している。
この小説は、絵を描く自分にとっては、とても興味深いものでした。
そして、2年前に開いた自分の個展のテーマとも重なるように感じます。
自分が目指しているものは、水墨画の中にヒントがあるのではないか?
そんなことも感じました。
昨日、早速この小説を映画化されたものをAmazon primeで観ました。
毎度原作を読んでからの映画鑑賞で感じるのですが、やっぱり小説の方が深い。
映画は時間の制限があるものの、小説で語っていることの半分位しか表現できていないと感じるのです。
自分はカミさんほど読書家ではありませんが、他人が創った世界観は、自分の頭の中で生まれる世界には勝てないと思うのです。
今回一気に読み終えたことにはもう一つ理由があります。
村上春樹さんの新刊が出たこと。
これを読みたくて、先に読んでいたこの本を読まなくてはと思ったからです。
村上春樹さんの本は殆ど読んでいますが、昨年の7月に入院した際に一気に上下巻を読み終えた、「海辺のカフカ」は今も時々その小説の世界を心の中で覗き観ることがあります。
この方の世界観は自分が描く絵のヒントや刺激にもなっていると感じるのです。
今日からまたどっぷりと、新しい村上ワールドの世界に浸かって行くことができることにワクワクしています。

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posted by JUNICHI ICHIMURA at 11:02|
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