美しいもの、醜いもの。
ウチの子供達は、親の仕事には全くもって興味がありません。
当然全く畑違いの仕事をやったり、目指したりしています。
幼い頃から美術館へ行く時は、一緒に連れて行ったものですが、一向に興味が持てない様で今に至ります。
それはそれで個人の人生ですから、何も言うつもりはないのですが、子供達がもういい歳になって来た今だからこそ、言ってやりたいと思うことがあります。
「美術館へ行きなさい」
美術館に限らず、いろいろな芸術に触れる時間を作ることは、人間を豊かにしてくれると感じているから。
木に例えれば、美術館に展示されている作品達は、その制作者の人生から出て来た「花や実」の部分です。
しかしそれだけでなく、根っこや幹の部分。その花や実が作られるまでの人生やそれぞれの美的価値観を学ぶ事ができます。
つまり、それぞれの哲学を見ることができる。
自分なりの美意識の判断基準を持つことは、とても大切だと思うのです。
形あるものだけでなく、生き方や考え方での「美しいものと醜いもの」も。
最初から人生を言葉で説明されても、なかなか理解できない場合が多いと思うのです。
でも、視覚から身体の中に迫って来るようにその作品に惹かれたとしたら、恐らくその作家の価値観にも惹かれているはずなのです。
子供達も今後何かしらの影響を受けて生きて行くのでしょうが、偏った価値観だけに染まって欲しくはありません。
そんな事を考えると、様々な価値が溢れる美術館は、正にいろいろな色を見せてくれるはずです。

