ー雨宿りー
「軒先を お借りします」
旅人は 言った
跳ね上げる雨は 旅人の足元を濡らす
「どうぞ どうぞ いいお湿りですね」
主人は 言った
「どちらまで?」
「・・・・。」
「はい 貴方の人生の その終わりの日まで」
旅人は応えた
「そうですか 長い旅ですか? 短い旅ですか?」
「辛い旅ですか 楽しい旅ですか?」
主人は尋ねた
「どうでしょう? 貴方の空の見方次第でしょうか」
旅人は応えた
ふと空を見上げると 雨は上がっていた
「帰り道 また雨が降っていたら 雨宿りさせてもらいます」
旅人は 歩き始めた

ー金沢市 東山1丁目(AM.7:12)ー