2019年07月02日

「 朝の散歩 2019_0702 」





ー 善意 ー


「うまく入れた」

コソ泥は 思った

鍵穴に針金を 突っ込み 微かに伝わるその奥の感触と 音を全身で感じる

それが開いた時の快感は 絶頂の時を迎えたように全身を貫く

もうそんな事を 何百回やって来ただろう

彼にとって この程度の蔵に侵入するのは 赤子の手を捻るより簡単な事だった

真っ暗な蔵の中を 月の灯りを頼りに 獲物を探る

古びたタンス 頑丈な金庫 大きなかめ 

その中に 朧げに光る小さな小箱があった

見たこともない 不思議な形と装飾がされたその箱は 彼を手招いているようだった

恐る恐るそれを そっと 開ける

なんとも 温かい光が広がり 彼の中に入って来る

それは何年も前 この仕事をやり始める前に 盗まれた

彼の 「善意」だった



sa_19_0702.jpg
ー金沢市 西町/藪ノ内通(AM.7:10)ー
posted by JUNICHI ICHIMURA at 10:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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