ーカメムシー
土色のカメムシは 毒しか吐けない自分を恨んだ
出会った誰かに 褒め言葉を言おうとしても
口から付いて出るのは 毒のある言葉だけ
次第にカメムシには 誰も近寄らなくなった
カメムシは 心地の良い言葉を探す旅に出ることにした
気持ちのいい言葉を お腹いっぱい食べれば
きっと毒はなくなる そう思った
旅で出会った連中の 口から出る 心地よい言葉をこっそりと頂く
それが喉を通る度 なんとも言えない快感が 身体中を巡った
幾度も幾度もそれを繰り返すうち
自分の身体が変わっていくことに気付く
土色だったカメムシは
幸せ色を 身にまとう
そんなカメムシに 変わっていた

ー金沢市 本多の森(AM.7:11)晴れー